「ボイラー技士」と名前が似ているが、業務内容も試験も別物——それが「ボイラー整備士」だ。ボイラー技士がボイラーを運転する資格であるのに対し、ボイラー整備士は一定規模を超えるボイラー・第一種圧力容器を分解して点検・整備するために必要な免許で、公益財団法人安全衛生技術試験協会(以下、協会)が実施する国家試験に合格して取得する。
ボイラー技士との違い——別系統の資格
ボイラー技士(特級・一級・二級)を持っていても、それだけではボイラーの整備はできない。両者は上位・下位の関係ではなく、目的の異なる別系統の資格だ。整備士免許が要るのは、事業者が一定規模を超えるボイラー・第一種圧力容器の整備を行わせる場合で、日常的な運転を担うボイラー技士とは業務範囲が分かれている。
この試験に合格しただけで自動的に免許が交付されるわけではない点にも注意したい。一般社団法人日本ボイラ協会は「試験を受けずに免許を取得できる制度は存在しない」と明記しており、試験合格に加えて、ボイラー・第一種圧力容器の整備の補助業務に6か月以上従事した実務経験(または所定の職業訓練修了)が満18歳以上であることとあわせて免許交付の要件になる。
受験資格は不要、学科試験1本
受験資格に学歴・実務経験の制限は無く、誰でも受験できる(本人確認証明書の添付は必須。科目免除で免許証の写しを添付する場合を除く)。試験は学科試験のみで実技は無い。
| 科目 |
出題数・配点 |
| ボイラー及び第一種圧力容器の整備の作業に関する知識 |
10問・30点 |
| 整備作業に使用する器材、薬品等に関する知識 |
5問・20点 |
| 関係法令 |
5問・20点 |
| ボイラー及び第一種圧力容器に関する知識 |
10問・30点 |
試験時間は2時間30分(科目免除者は1時間40分)。合格基準は「各科目の得点40%以上かつ合計60%以上」。
科目免除制度
ボイラー技士(特級・一級・二級のいずれか)の免許を持っている場合、第4科目「ボイラー及び第一種圧力容器に関する知識」が免除される。ボイラー技士としての実務経験がある人は、この免除を活用すれば対策範囲を3科目に絞れる。SAT株式会社が公開する解説記事も、ボイラー技士は特級・一級・二級が上下関係にある一方、整備士は「たとえ特級ボイラー技士免許を持っていても、整備士免許が無ければ自ら整備を行うことはできない」別系統の資格だと説明しており、この記事の整理と一致する。
受験料
学科試験のみで8,800円(税込)。協会の手数料ページには「消費税法により全て非課税、インボイス適格請求書発行事業者の登録が無いためインボイスは発行できない」と明記されている。
2026年9月時点の実施状況——直近回はすでに受付終了
協会の日程表(2026年9月確認)によれば、令和8年4月〜令和9年3月の実施日は6月10日・10月2日・翌2月15日の年3回で、実施センターは北海道・東北・関東(市原)・中部・近畿(大阪試験場)・中国四国・九州(関東東京試験場と近畿センター本体は実施なし)だが、九州センターのみ10月2日の実施が無く6月10日・翌2月15日の年2回と、センターにより回数が異なる。
本記事確認時点(2026年9月19日)で直近の2026年10月2日実施回は、受付期間(試験日の2か月前〜14日前=8月2日〜9月18日)がすでに終了している。 次回は2027年2月15日実施で、受付は同年12月中旬頃に始まる見込みだが、正式な受付開始日は協会の日程ページで確認が必要だ。今回受験を検討していた人は、次回の受付開始を見逃さないよう協会サイトを定期的にチェックすることをすすめる。
未経験からのキャリアパス
ボイラー整備士は実務での知識が問われる試験のため、未経験からいきなり合格を目指すハードルは低くない。一般的なキャリアパスとして、まず受験資格の制限が無い2級ボイラー技士を取得してボイラーのある職場に入り、現場で整備の実務経験を積みながら整備士試験の対策を進める、という順序が現実的とされる。
誰が必要とする資格か
工場・病院・ビル管理などボイラーを保有する事業所で、整備業務を外部委託せず自社で対応する場合にこの免許が必要になる。ボイラーメンテナンス専門業者にとっては必須の資格であり、設備管理職の中でも専門性の高いポジションを裏付ける免許として機能する。
同じ協会が実施する他の免許試験
ボイラー整備士は移動式クレーン運転士やエックス線作業主任者と同じ安全衛生技術試験協会が実施する免許試験だが、対象業務はボイラー・圧力容器の整備という専門分野になる。いずれも学科中心・受験資格不要という共通点はあるが、免許同士に代替関係は無い。
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