国家資格キャリアコンサルタントとは別の国家検定
「キャリアコンサルタント」は、試験に合格した後、名簿へ登録して名乗る国家資格だ。登録を続けるには5年ごとの更新も必要になる。一方、「キャリアコンサルティング技能士」は、職業能力開発促進法に基づく国家検定の1級または2級に合格した人に付く称号で、登録資格とは制度が異なる。厚生労働省は、技能検定の能力水準を国家資格キャリアコンサルタント試験より上位に位置付け、2級を熟練レベル、1級を指導レベルとしている。両者は関連するが、試験・資格名・登録の扱いを混同しないようにしたい。 厚生労働省「キャリアコンサルタントになりたい方へ」/厚生労働省「キャリアコンサルティング技能士との関係」
1級・2級で評価する水準と試験
キャリアコンサルティング技能検定は、厚生労働大臣の指定を受けたキャリアコンサルティング協議会が実施する。学科と実技(論述・面接)の双方に合格すると、受検した級の「キャリアコンサルティング技能士」となる。学科・実技はそれぞれ別に受けられ、一方だけの合格には有効期間付きの一部合格証書が発行される。 キャリアコンサルティング協議会「受検概要」
2級は、個人の相談で関係を築き、相談者の課題を見立てて、1対1の支援を的確に行う熟練レベル。1級は、より高い水準で相談支援を行うほか、組織への働きかけや関係者との調整、他のキャリアコンサルタントへの指導・助言ができる水準として定められている。 厚生労働省「キャリアコンサルティング技能士との関係」
| 級 |
学科 |
実技:論述 |
実技:面接 |
| 2級 |
4肢択一50問・100分 |
1ケース・記述式・60分 |
相談者役とのロールプレイ20分+口頭試問7分 |
| 1級 |
5肢択一50問・100分 |
1ケース・記述式・80分 |
事例相談者への指導ロールプレイ30分+口頭試問9分 |
学科は100点満点の70点以上、実技は論述・面接のそれぞれ60点以上が合格基準。面接は評価区分ごとに60%以上の得点も必要だ。2級では受検者自身がキャリアコンサルタント役として相談を行い、1級では事例指導者役となって事例相談者を指導する。 キャリアコンサルティング協議会「2026年度後期受検案内」
協議会が公表した直近の級別試験結果では、2級第36回(2026年度前期)は学科58.84%・実技14.48%、1級第15回(2025年度後期)は学科48.83%・実技8.54%。学科と実技の別々の値で、対象となる試験回も異なるため、両方を通した総合合格率としては扱えない。 2級第36回試験結果/1級第15回試験結果
受検資格と実務経験
受検資格は級ごとに複数のルートがあり、該当するものを一つ満たせばよい。実務経験だけのルートでは、2級は5年以上、1級は10年以上が必要。学歴や養成講習、国家資格キャリアコンサルタント試験の合格・登録、2級合格後の経験などを組み合わせると、必要年数が短くなるルートもある。
たとえば2級は、キャリアコンサルタント試験の合格者または登録者なら、3年以上の実務経験が受検資格の一つになる。1級では同じ資格要件に加えて8年以上の経験が必要で、2級技能検定の合格者は、合格後3年以上の実務経験でも受検できる。大学で関連科目を20単位以上修得して卒業した人、または大学院で関連科目を8単位以上修得して修了した人にも、それぞれ年数を短縮する要件がある。 キャリアコンサルティング協議会「受検資格」
ここでいう実務経験は、労働者の職業選択・職業生活設計・職業能力開発や向上について、本人の希望に応じた相談を継続的・反復的に行った経験。協議会の説明では、おおむね月1回以上が目安で、人事考課面談や採用面接、セミナー講師、一方的な情報提供だけの業務は該当しない。実務経験に当たるかは所属先や肩書だけでは決まらず、対象・相談内容・頻度を含めて受検案内と公式資料で確認する必要がある。今回の後期受検案内では、実務年数を2026年9月末までの通算年数として算出するとしている。 キャリアコンサルティング協議会「実務経験とは」/2026年度後期受検案内
受検料と一部合格による免除
受検料は非課税で、学科が両級とも11,200円、実技は2級29,900円、1級33,500円。学科だけ、または実技だけの受検もできる。学科と実技の両方を初めて受ける場合の単純合計は2級41,100円、1級44,700円となる。 キャリアコンサルティング協議会「2026年度後期受検案内」
学科または実技の一部に合格した場合、その合格試験は、試験実施日の翌々年度末まで免除される。2級の一部合格は2級内で免除に使える。1級の一部合格は1級または2級の該当試験で使える。免除を希望する場合は、受検申請時に有効な一部合格番号を記入する。なお、国家資格キャリアコンサルタントを持つことは一部免除ではなく、受検資格の実務経験ルートに関わる。 キャリアコンサルティング協議会「試験免除制度」
2026年度後期の日程と受付状況
2026年度後期は、2級第37回・1級第16回。学科と論述は2026年12月13日(日)、札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・広島・福岡で実施予定。面接日は受検案内で公表済みで、2級は札幌1月11日、仙台1月16・17日、東京1月9~11日・15~17日、名古屋1月9・10日、大阪1月9~11日・16・17日、広島1月9・10日、福岡1月16・17日。1級は東京・大阪で2月6・7日、11~14日に設定されている。定員に達した場合の調整日もある。試験会場の施設名は、受検票発送前の段階では未掲載だ。 キャリアコンサルティング協議会「2026年度後期受検案内」
受検案内の配布期間は9月9日~30日、申請受付は9月16日~30日(Web申請完了または郵送の消印有効)で、2026年10月11日現在、後期試験の新規受付は終了している。受検票の発送予定は11月18日、合格発表は2027年3月17日。現在公開されている公式日程ページに、2027年度前期の次回日程はまだ掲載されていない。申込みや次回受検を検討する際は、協議会の試験日程と「試験に関する情報」を確認したい。 キャリアコンサルティング協議会「試験日程」/「2026年度後期受検案内」公示
受検者が記録した一例
2026年9月に公開された2級合格者の記録では、筆者は第35回で学科、第36回で実技を受け、両方とも初回で合格したと報告している。学科と実技を別の回に分けた経緯や、育休中に実技準備を進めた体験も記されている。これは一人の受検者の記録であり、準備時間や合格しやすさの標準を示すものではないが、試験を分けて受検した体験の参考になる。 2級技能検定の合格体験記
確認日:2026年10月11日