家事代行・家政婦(夫)という仕事に、長年「資格」と呼べるものが無かった。この空白を埋めるために公益社団法人日本看護家政紹介事業協会が実施しているのが家政士検定だ。2025年3月11日に厚生労働大臣認定の団体等検定制度(団第1号)として認定された、家政サービス分野では最初の認定検定になる。
団体等検定の第1号という位置づけ
団体等検定制度は、国家技能検定とは別枠で、企業・団体が実施する検定のうち一定基準(非営利・客観的な評価基準・学科と実技の両方の実施等)を満たすものを厚生労働大臣が個別に認定する仕組みだ。厚生労働省の認定一覧によれば2026年3月31日時点で6団体6職種しか認定されておらず、家政士は制度発足時からの認定第1号にあたる。国家資格ではないが、外部労働市場での通用力を前提にした民間検定という位置づけだ。
受験資格——実務経験が前提の検定
家政士検定は誰でも受けられるわけではない。受験資格は次のいずれかを満たす必要がある。
| 区分 |
要件 |
| ① |
協会会員紹介所を通じた家政婦(夫)業務の実務経験5年以上(年100日以上勤務) |
| ② |
介護保険指定事業所での介護業務の実務経験5年以上(年100日以上勤務) |
| ③ |
紹介所長が①②と同等と認める経験者 |
| ④ |
介護・保育・家事支援の実務経験5年以上、または家政関連学科卒業者等 |
主婦・主夫としての家事経験だけでは受験資格を満たさない点に注意が必要だ。あくまで家政紹介所を通じた就業経験や、介護・保育分野での実務経験が前提になっている。
試験の中身——学科と実技の両輪
| 試験 |
形式 |
合格基準 |
| 学科試験 |
多肢択一式40問・60分 |
80%以上 |
| 実技試験 |
「衣」「食」「住」の3科目すべてを実施(合計15分) |
150点満点で70%以上 |
学科試験の合格基準80%以上は、一般的な資格試験の合格ライン(60〜70%程度が多い)と比べて高めに設定されている。実技試験は「衣」(衣類の選択・手入れ)「食」(調理・盛り付け)「住」(清掃・整理整頓)の3科目すべてが出題される。時間配分は科目によって異なり、いずれか1科目は7分、残る2科目はそれぞれ4分の合計15分。単に作業を終わらせるだけでなく、安全に配慮しながら効率よく作業できているかまで評価対象だ。
2026年度の日程と受験料
試験日は2026年11月21日(土)。会場は札幌・さいたま・千葉・東京・横浜・福井・静岡・尼崎・岡山・鹿児島の全国10会場に設定されている。受験申請期間は2026年8月6日〜10月22日(消印有効)で、本記事確認時点(2026年9月)で受付中だが、札幌・さいたま・千葉・東京・横浜など複数会場ではすでに定員に達している。希望する会場がある場合は早めに申請するか、空きのある他会場を検討する必要がある。合格発表は2027年1月29日予定。
受験料は次のとおり(消費税の表記区分は公式サイトに明記がないため、公式表記のまま記載する)。
| 区分 |
受験料 |
| 一般 |
13,000円 |
| 協会特別会員 |
9,000円 |
| 在学生(学割) |
6,000円 |
| 科目免除者(一般) |
6,500円 |
| 科目免除者(会員) |
4,500円 |
実際に受けようとした人の記録
個人ブログ「ビジューティエ ピーエムジーのブログ」(該当記事)の著者は、家政士検定の存在を知って申し込み手続きを進めた過程を残している。受験申込を済ませ、公式テキストが届いた段階で「明日からテキストで勉強しようと思います」と学習開始を宣言する記述があった。試験本番の結果までは追えなかったが、受験資格を満たした実務経験者が、資格取得のために自主的にテキストで学び直すという行動自体が、この検定が単なる経験の証明にとどまらず、体系的な知識の習得を促す機能を持っていることを示している。
誰のための検定か
家事代行サービスの拡大、共働き世帯の増加、そして家政婦紹介業界そのものの高齢化を背景に、家政サービスの担い手を客観的に評価する物差しへの需要は高まっている。この検定は家政紹介所に登録する現役の家政婦(夫)にとって、経験を裏付ける公的な証明として機能する。紹介所側にとっても、登録者のスキルを客観的に示す材料になり、利用者への説明責任を果たしやすくなる。
介護・保育分野からの転身を考えている人にとっても、実務経験を家政サービス分野の資格へ転換できる数少ない選択肢だ。
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