電子回路営業士

ビジネス・経営更新 2026年9月17日
電子回路営業士
合格率 / Pass rate
公式発表の合格率データなし(2026年9月確認)
勉強時間 / Study
公式教材「電子回路営業ハンドブック」(A5判378ページ)を用いた学習が中心。実務経験者向けのため学習時間の目安は編集上の推定を避け未記載とする
費用 / Fee
全科目15,000円(税込)。各科目単科受験は5,000円(税込)

プリント基板を売る営業と、それを作る技術者の会話が噛み合わない——電子回路業界でしばしば起きるこのすれ違いに対応するため、一般社団法人日本電子回路工業会(JPCA)が設けたのが電子回路営業職業能力検定だ。合格すると「電子回路営業士」の称号を名乗れる。

「団体等検定」という枠組みで生まれた資格

この検定は、国家技能検定とは別に厚生労働大臣が個別に認定する団体等検定制度の枠組みで実施される。団体等検定は、企業・団体が実施する検定のうち、営利目的でないこと・客観的で公正な評価基準を持つこと・学科試験と実技試験の両方を実施すること等の基準を満たしたものを厚生労働大臣が認定する仕組みで、受験者を従業員以外(求職者・学生等)にも開くことと外部労働市場での通用力が求められる点が、企業内だけで完結する検定と異なる。

厚生労働省が公表する認定一覧によれば、2026年3月31日時点で認定されているのは6団体6職種だけで、電子回路営業はそのうちの1つ(2026年3月31日認定・団第6号)。同じ日に産業カウンセラー(日本産業カウンセラー協会)も認定されており、この枠組み自体がまだごく限られた職種にしか適用されていないことが分かる。

1級・2級の受験資格と試験構成

級 受験資格
2級 電子回路営業の実務経験2年以上
1級 実務経験5年以上、または2級合格後2年以上の実務経験

試験は学科・原価計算・ロールプレイングの3科目構成で、単に知識を問うだけでなく「商談の場でどう振る舞うか」まで評価する設計になっている。

科目 内容 時間
学科試験 筆記50問 50分
原価計算試験 筆記20問 50分
ロールプレイング 商談形式の対話試験 1級15分・2級10分

ロールプレイングを試験科目に入れている点が、この検定の性格をよく表している。プリント基板の仕様や工程知識を持っているだけでなく、それを商談の場で顧客に説明し、原価感覚を持って条件交渉できるかまでを見る。

受験料と2026年度の実施状況

全科目受験は15,000円(税込)、科目ごとの単科受験は各5,000円(税込)。2026年度の検定日は2026年10月15日(木)、会場は東京(機械振興会館)・大阪(ドーンセンター)の2会場。申込受付は2026年5月18日〜7月31日で、本記事確認時点(2026年9月)ではすでに終了している。JPCA公式サイトには合格者向けフォローアップセミナーについて「2026年度分は準備中」との記載があるのみで、2027年度・次回の検定日程はページ上にまだ掲載されていない。

受験を検討する場合は、次回受付が始まるタイミングをJPCAの公式告知で継続的に確認する必要がある。

学習教材と「営業×技術」の橋渡し

JPCAは受検者向けに「電子回路営業ハンドブック」という電子書籍を刊行している(2023年5月31日発行・A5判378ページ、一般10,000円・会員7,500円、いずれも税込)。内容は3部構成で、第I部が営業に必要な知識(目標管理・マーケティング・原価計算・法務等)、第II部がプリント配線板の設計から製造・品質管理までの基礎知識、第III部が電気回路の基礎知識という組み立てだ。

この構成自体が、この検定が何を評価しようとしているかを物語っている。純粋な営業スキルだけでも、純粋な技術知識だけでも合格ラインに届かない。技術を理解した上で営業できる人材を可視化する検定として設計されている。JPCAの説明によれば、この検定の狙いは「電子回路製造業の職務に従事する方の社会的・経済的地位の向上」と「営業従事者の知識・技能レベルの評価」にあり、買い手と作り手の間で技術的な会話が成立しないという業界の実務課題への対応という位置づけだ。

誰が受けるべきか

対象は電子回路(プリント基板)業界の営業職に限られる、極めてニッチな検定だ。日本電子回路工業会という単一団体が認定・運営する専門職検定であり、業界外の人が汎用スキルとして取得する類のものではない。ただし、電子部品・電子回路の商社やメーカーで営業を担当する人にとっては、技術理解を伴う営業力を客観的に示す数少ない手段になる。プリント基板業界の会社に転職・異動する際、実務経験を裏付ける材料としても機能する。

団体等検定という枠組み自体が2026年時点でまだ6職種しかない黎明期の制度であるため、今後認定が広がれば同様の「技術理解を伴う営業系検定」が他業界にも登場する可能性がある。この検定はその先行事例として見ることもできる。

ビジネス系で合わせて学びたい資格

電子回路営業士団体等検定日本電子回路工業会プリント基板営業