証券アナリスト(CMA:Chartered Member of the Securities Analysts Association of Japan)は、公益社団法人日本証券アナリスト協会(SAAJ)が認定する金融のプロフェッショナル資格だ。「CFA(米国版)の日本版」と理解してもらうと、業界でのポジションがわかりやすい。CFAほどのグローバル認知度はないが、国内の証券・投資業界では「最低限持っておくべき資格」として位置づけられており、証券会社・運用会社・銀行のアナリスト・ストラテジスト・ファンドマネージャーを目指すなら避けて通れない。
受験を決めたらまず確認すること
証券アナリストは「申込をして試験を受ける」だけでは受験できない。第1次試験の受験要件として通信教育課程(eラーニング)の受講修了が必要だ。
受験の流れ:
- 日本証券アナリスト協会に入会・受講登録(オンライン)
- 第1次試験通信教育(3科目)を受講
- 第1次試験3科目全て合格後、第2次試験の受験資格取得
費用の目安:
| 内容 | 費用 |
|---|---|
| 第1次試験通信教育(3科目セット) | 約76,100円 |
| 第2次試験受験料 | 約35,700円 |
| 合計(一発合格モデル) | 約11〜13万円 |
第1次試験は年2回(3月・9月)、第2次試験は**年1回(6月)**実施される。第1次試験の3科目は1科目ずつ受験できるので、働きながらでも計画的に進めやすい。
出題傾向と頻出テーマ
第1次試験(3科目)
| 科目 | 主な出題内容 |
|---|---|
| 証券分析とポートフォリオ・マネジメント | 株式評価・債券分析・デリバティブ・ポートフォリオ理論 |
| 財務分析 | 財務諸表分析・収益性・安全性・キャッシュフロー |
| 経済 | マクロ経済・金融政策・国際経済 |
出題形式は択一式(マークシート)。各科目100点満点でおおむね60点以上が合格基準。
「証券分析」は計算問題が多い。株式バリュエーション(DDM・DCF・PBR/PER)、債券のデュレーション・コンベクシティ、デリバティブの価格計算が頻出。「財務分析」は財務諸表の読み込みと比率分析が核心だ。
第2次試験
- 論述式(記述式)による筆記試験
- 株式・債券・デリバティブ・ポートフォリオ・財務の総合問題
- 「なぜその評価になるか」を文章で説明できる応用力が問われる
第2次試験は「知識の暗記」ではなく「実務での判断力」を測っている。過去問を解いて「書き方の型」を身につけることが合格の鍵だ。
合格率から読み解く本当の難しさ
| 区分 | 合格率の目安 |
|---|---|
| 第1次試験(各科目) | 約35〜45% |
| 第2次試験 | 約35〜40% |
第1次試験の3科目を全て合格するまでに1〜3年かかる人も多い。一方、1科目ずつ受験できるため、仕事と並行して計画的に進める受験者が多い。
本当の難所は第2次試験。択一式で「知っているか」を問われる第1次試験と異なり、第2次試験は「実務で判断できるか」を問う。記述式で論拠を示しながら結論を導く訓練が必要で、独学よりも模範解答の「型」を学ぶことが有効だ。
社会人向けスケジュール例
| 目標 | 学習期間 | 1日の学習量 |
|---|---|---|
| 第1次試験 1科目目(証券分析) | 3〜4ヶ月 | 1〜2時間 |
| 第1次試験 2・3科目目 | 2〜3ヶ月/科目 | 1〜1.5時間 |
| 第2次試験 | 3〜6ヶ月 | 1.5〜2時間 |
教材選びの基準と実践的な勉強法
証券アナリストは通信教育の受講費が高い分、市販教材は最小限で済む構造になっている。テキストをしっかり読み込んだ上で過去問演習に集中するのが最短ルートだ。
推奨教材:
- 日本証券アナリスト協会 公式通信教育テキスト: 受講時に提供される。試験範囲を完全カバー。最重要教材
- 証券アナリスト試験 過去問集(TAC出版等): 市販の問題集も豊富
- TAC・AFPASなどの専門学校テキスト: 苦手分野を補強したい場合に補助的に活用
学習ステップ:
- 通信教育のテキストを1周(全科目の体系的な理解の土台)
- 過去問中心の演習(協会が公式に提供する過去問集を活用)
- 苦手科目の重点対策(特に「証券分析」は計算問題が多く練習量が直接結果に反映)
- 第2次試験対策:協会公式の過去問の模範解答を読み込み「書き方の型」を習得
資格取得で変わること・変わらないこと
変わること
- 証券会社・運用会社・銀行信託部門への転職・異動において、書類選考に有利に働く
- 分析・運用系のキャリアを歩む際の「基礎的な資格」として評価される
- IR部門・財務部門での数値分析力の証明になる
変わらないこと
- 証券アナリスト(CMA)は「実務経験」が必要なため、資格だけでは中途採用の決め手にならないケースもある
- グローバルな運用業界ではCFAの方が評価されるため、国際的なキャリアを目指すならCFAへのステップが必要
次のステップ
- CFA(米国証券アナリスト): グローバルにキャリアを展開したい場合の上位資格
- CAIA(オルタナティブ投資アナリスト): PE・ヘッジファンド・インフラ投資に特化
- FRM(金融リスクマネージャー): リスク管理専門職へのキャリアシフト
- 中小企業診断士: ビジネス全般への視野を広げたい場合の選択肢
