受験を決めたらまず確認すること
プロジェクトマネージャ試験(PM試験)は、IPA(情報処理推進機構)が実施する情報処理技術者試験の最高難度区分(レベル4)に位置する国家資格だ。試験は年1回(春期・4月)に実施される。
| 試験区分 |
形式 |
時間 |
合格基準 |
| 午前Ⅰ |
四肢択一(30問) |
50分 |
60点以上 |
| 午前Ⅱ |
四肢択一(25問) |
40分 |
60点以上 |
| 午後Ⅰ |
記述式(3問中2問) |
90分 |
60点以上 |
| 午後Ⅱ |
論述式(3問中1問) |
120分 |
A評価以上 |
受験資格の制限はないが、実態として対象者はほぼ固まっている。SIer・IT企業でプロジェクトリーダーまたはPMを担当している(3〜10年経験)、ユーザー企業のIT部門でシステム刷新プロジェクトを率いているエンジニアが主な受験層だ。
応用情報技術者試験の合格者、または高度試験の午前Iを2年以内に通過した場合は午前Iが免除される。
申込はIPA公式サイトから行う。
出題傾向と頻出テーマ
午前IIの主要出題分野はプロジェクトマネジメントのフレームワーク(PMBOKとの親和性が高い)が中心だ。
| 分野 |
ポイント |
| プロジェクト統合管理 |
WBS、プロジェクト憲章、変更管理 |
| スコープ管理 |
要件定義、スコープクリープ防止 |
| スケジュール管理 |
クリティカルパス、EVM(出来高管理) |
| コスト管理 |
EVMのCPI・SPI、バジェット管理 |
| リスク管理 |
リスク識別・定性的/定量的分析・対応計画 |
| 品質管理 |
レビュー、テスト計画、品質メトリクス |
EVM(アーンドバリューマネジメント)は必ず出題される計算問題の核だ。SV(スケジュール差異)、CV(コスト差異)、SPI、CPIの計算式を確実に習得すること。
午後IIの論述式で頻出のテーマ:
| テーマ |
| スコープ変更への対応 |
| コスト超過・スケジュール遅延への対処 |
| チームメンバーのモチベーション管理 |
| ステークホルダーとの合意形成 |
| リスクの早期検知と対応 |
合格率から読み解く本当の難しさ
| 年度 |
受験者数 |
合格者数 |
合格率 |
| 2024年 |
5,397人 |
755人 |
14.0% |
| 2023年 |
5,312人 |
713人 |
13.4% |
| 2022年 |
5,180人 |
714人 |
13.8% |
| 2021年 |
5,043人 |
776人 |
15.4% |
安定して13〜15%。ただし「受験者の多くがPM実務経験者」という母集団の質を考えると、実質的な難度はさらに高い。
難易度の核心は午後IIの論述式にある。2,400〜3,000字を120分で書き切る必要がある。試験で問われる論述は「自分が経験したプロジェクトの話」として書くことが前提で、業務経験なしでの合格は理論上可能だが、実務感のある論述を書くのは至難の業だ。
教材選びの基準と実践的な勉強法
| バックグラウンド |
期間目安 |
| PM実務5年以上・応用情報合格済み |
6〜9ヶ月 |
| IT実務3年以上・応用情報合格済み |
9〜12ヶ月 |
| 高度試験初挑戦 |
12〜18ヶ月 |
論述の典型構成は「プロジェクトの概要説明(500字)→課題・問題の設定(500字)→具体的対応とその判断(1,200字)→結果と振り返り(400字)」だ。
「架空の案件でも『300人月・18ヶ月・金融系基幹システム刷新・予算5億円』のように具体的な数字を設定して書くことが重要」「論文ネタを試験前に3〜4本用意し、当日の問題に合わせて組み替えるのが合格の定石」というのが合格者の共通見解だ。
| 教材 |
用途 |
費用 |
| 「情報処理教科書 プロジェクトマネージャ」(翔泳社) |
午前〜午後Ⅱまで網羅する定番 |
約3,800円 |
| 「プロジェクトマネージャ合格論文集」(アイテック) |
午後Ⅱ対策の決定版 |
約3,500円 |
| IPA 過去問・模範解答 |
午後Ⅰ・Ⅱの傾向把握 |
無料 |
資格取得で変わること・変わらないこと
変わること:
- SIerでのプロジェクト受注条件(PMに国家資格保有者を要件とする案件が存在)に対応できる
- 官公庁・独立行政法人向け案件での入札評価基準においてスコアが加点される
- IT系の国家資格として採用・昇進評価で高度試験合格者として認識される
変わらないこと:
- 資格だけではPMとしての能力は証明できない。実際のプロジェクト遂行実績との組み合わせが必要
- プロジェクトマネジメントの手法(アジャイル・スクラム等)は別途実務での習得が必要
| 関連資格 |
関係性 |
| PMP(PMI認定) |
米国発のグローバルPM資格。5年以上の経験が必要 |
| 応用情報技術者試験 |
PM試験への前段階として最も一般的なルート |
| 情報処理安全確保支援士 |
セキュリティとPMの両方を持つと評価されやすい |